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garmmy

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  1. ^I had actually only started on it last week, I thought it'd already been translated until well..I realised it wasn't lol. AHHHH I forgot about in-game Magnus... In-game Magnus is actually 'Magnum' (マグナム) in the JP version, whereas the Drama CD Magnus is マグヌス (literally 'magunusu'). I copped-out and changed his name to 'Magnhus' for now just to hopefully avoid confusion... Vidar is ヴィダル in Japanese. I went with 'Vidar' after the Norse god of forest and revenge (https://en.wikipedia.org/wiki/Víðarr) since this CD takes place in a forest? Though the pronunciation of their names is a bit different. They're both unique to the drama CD as far as I'm aware.
  2. Hi, just dropping by because I recently translated the FE Echoes Drama CD "Foreign Skies, Daybreak Forest" here: https://garmtranslations.wordpress.com/2019/02/20/fire-emblem-echoes-shadows-of-valentia-drama-cd/ (The post contains text translation only, no audio) I tried my best to write it so it can be read independently from audio, but I still recommend listening if you get the chance! It's not a one-to-one literal translation, but I tried not to deviate TOO much like I'm prone to doing haha (but also I'm not really a writer, so I can't hope to even get close to Echoes' writing level). However I admit my hearing's quite trash and I'm not really good at distinguishing seiyuu voices, so if you spot any important errors while listening/reading feel free to let me know ^^' Hopefully not..! Nevertheless I hope it'll be an enjoyable read! Edit: Forgot to mention; the drama CD takes place after the battle at the border that occurs in the beginning of Act 4, so it may contain spoilers for anything before that! Everything after that is safe.
  3. Hi! I recently translated the roundtable/interview that was in the FE4 Fan Special book (9784893665805), between Hijiku Tsukamoto, Ken Heuga, and Mamoru Satonaka, with comments by Shouzou Kaga, here: https://garmtranslations.wordpress.com/2019/02/13/fire-emblem-genealogy-of-the-holy-war-fan-special-roundtable-discussion/ Someone suggested I post about it here too and I almost forgot I had an account here haha. It was published back in 1996 so a lot of stuff is a bit old news, but hopefully there are still some interesting tidbits in there as well! Also, feel free to point out if anything sounds weird/mistranslated and I can look into it a bit more; it's been years since I actually played FE4 so I'm a bit rusty on the mechanics and gameplay I think.
  4. Just wanted to correct that it's more along the lines of Cordelia saying 'I'm not a genius', referring to how (iirc, I haven't touched fe13 in a long while) she's always referred to as a genius/extremely talented but she's being humble about it. I remember seeing a Samto card whose quote was translated incorrectly too, but it was some time ago and I'm a bit too lazy to dig it out.. In any case, Samto's quote would be more like 'What? Ogma? H-ha, he's not a match for me.'.
  5. thank you guys for the compliments c: i really wish i still had the patience to do these, it was always a fun challenge thinking about how to recreate these songs within 8-bit boundaries and still have it sound good.
  6. Inspired by the other topic posting 8-bit remixes..a couple years ago i was way over my head and wanted to cover the whole fe4 soundtrack on famitracker, but of course that went nowhere; I did finish some tracks though that I never really posted online, so I thought to finally post them in case anyone might have any use (?) for them: https://www.mediafire.com/folder/52c2huoqij2jw/FE4_ftm_files ^This link contains .ftm files of all the fe4/5 music i've arranged on famitracker; they can be converted into NSF files which you *could* try inserting into NES roms (though they weren't made with insertion in mind so no guarantees it won't screw up). Because it's been years, I'm not happy with how some of them are sequenced any more but oh well. I haven't had the time/patience to sit down and work on 8-bit arranges lately. You can listen to some of the fe4 themes here; the rest and also a bunch of other 8-bit fire emblem music are probably on my channel somewhere.
  7. It's a fairly long (to me) chapter, and I'm tired out everyday so I don't make much progress quickly...anyway here's part 1 of 'My Child, Loptyr'. Bolded part was written in a different font in the book. Warning not to read for those who dislike reading about animal cruelty. [spoiler=My Child, Loptyr (part 1)]わが子ロプトウス   ユリウスと、ユリアは双子の兄妹だったが、性格はまるで違っていた。   ユリウスは外向的であり、何にでも興味を示した。赤子のうちから、何か新しいものを見つけると手を伸ばして取ろうとした。そして、手に入らないと、かんしゃくを起こして、大きいな声で泣いた。   それに比べるとユリアは内向的で、おとなしい子だった。でも、知恵のつき方が遅いわけではなく、知っている顔を見つけるとにっこり笑ってみせた。声をかけてもらったりすれば、いかにも嬉しそうに、にこにこと笑った。   よちよち歩きを始めるようになると、その差はもっとはっきりした。   ユリウスは、手を届くところにある物は何でも手に持って調べ、あきると放りだした。   ユリアの方は、興味のあるものでも、手にしていいのかどうか、近くの大人の顔をまず見るようなところがあった。   自由に歩けるようになると、ユリウスの好奇心はいたずらへと発展した。   「いたずらが好きなのは、頭がよい証拠だ」   二人の父親であるアルヴィスがそういったので、ユリウスのいたずらは、グランベル帝国の皇帝が公認した形になり、周りの者は叱りつけることができなくなった。   できることといったら、せいぜい、いたずらされては困る物を、ユリウスの手の届かないところに置くことと、いつもだれかがそばについて監視してりることぐらいだった。   ところが、ユリウスは思いもよらぬ悪知恵を働かせて、大人たちの裏をかいた。   宮廷の奥では、毎日何かがこわれたり、なくなったりした。   ユリウスは、自分のいたずらによって大人たちが困惑していると、キャッキャッといって笑った。   それで、犯人は特定されるのだが、皇帝の言葉と、ユリウスの無邪気な笑顔のために、だれもが笑ってすませることになった。   ユリウスが五歳になった夏のことだった。   ユリウスとユリアの母親であり、グランベル帝国の皇后であるディアドラは、毎朝、宮殿の広い中庭に出ると、自分たちの部屋に飾る花を摘んでくるのが習慣だった。   侍女たちは、そんなことは自分たちに任せてほしいといっていたが、ディアドラは花摘みは自分の楽しみだからといって、他人には任せなかった。   その朝、見事に咲きそろったヒマワリの花壇で、ディアドラは奇妙なものを見つけた。   首だけのカマキリが、何匹も茎に食らいついていたのである。   見ると、近くの地面には首のないカマキリの体が何体も散らばっていた。   とっさに頭に浮かんだのは、ユリウスの仕業かもしれないということだった。   (もし、ユリウスがやったとしたら、こんな残酷なことは止めさせなければ)   息子の部屋に行くと、ユリウスは朝の着替えをしてもらっているところだった。   着替えが終わり、侍女が下がるのを待って、ディアドラはいった。   「ユリウス、あなたは昨日ヒマワリの花壇のところで遊んだ?」   「いいえ、母上。ぼくは、ヒマワリの花壇のとこなんか行かなかったよ」   そう答えると、ユリウスはにやりと笑った。   その笑いで、ユリウスがやったに違いない、と思った。   「そうなの。それならいいのだけど。でも、今朝、ヒマワリの花壇のところに行ったら、首だけのカマキリが何匹もいるのを見たの。あなたは、知らない?」   「知らないよ」   ユリウスは、笑いを懸命に嚙みしめている。   「ひょっとして、ユリウス、あなたがやったんじゃないかと思ったの。……あなたは、やっていないのね」   「やってないよ。ぼくは、なーんにも知らないよ」   そういうと、少年はとうとう笑いだした。そして、歌うように繰り返した。   「ぼくは、なーんにも知らないよ」   「でも、あなたのその笑い方は、自分がやったっていっているのと同じだわよ」   その言葉に、少年はいかにも愉快そうな顔をすると、大きな声を出して笑った。   「ユリウス」   ディアドラは、きつい調子でいった。   「笑っていないで、ちゃんと返事をしなさい」   「本当に、やってないよ。ぼくがやったっていう証拠でもあるの?」   「証拠?」   「父上だって、いったことがあるじゃない。ちゃんとした証拠がないのに疑ってはいけないって」   「証拠は、あなたの笑い方よ」   「でも、父上はいったよ。笑い方だけで、ぼくを犯人ときめつけてはいけないって」   「分かったわ。はっきりとした証拠はありません。でも、これだけは覚えておきなさい。やたらと、生き物の命を奪ってはいけないのです」   「どうして?」   「生き物が生きていることは、それぞれに意味があるの。生き物というのは、動物だけじゃないのよ。草や木もりっぱな生き物で、それぞれに生きている意味があるの。だから、人間が勝手に命を奪ってはいけないの」   「じゃあ、カマキリがほかの虫を殺すのはいいの」   「…………」   「ぼくは見たんだ。カマキリがチョウチョウを捕まえて食べちゃったんだよ」   「カマキリは生きていくために、チョウチョウを捕まえたのよ」   「じゃあ、生きていくためなら、殺してもいいの?」   「生きていくために、どうしてもそうしなければならないならね」   「分かりました、母上。もう、カマキリなんか殺しません」   ユリウスが神妙な顔をして答えたので、ディアドラはほっとした。   「分かってくれればいいの。もう、あんなことをしてはだめよ」   「はい」   そういうと、ユリウスはにっこりと笑った。   その可愛らしさにつられて、ディアドラも思わず笑顔になった。   翌朝、目を覚ましたディアドラが寝室の窓から中庭を見ると、ヒマワリの花壇の様子がおかしかった。   急いで中庭に出ると、すべてのヒマワリの茎が折られていた。花は、無残にも地面の上に散乱している。   (ユリウスだ)   走って息子の部屋まで行き、扉を開けた。   「ユリウス!」   息子は、まだぐっすりと眠っていた。   ディアドラはベッドのそばに行き、息子の体をゆすった。   「ユリウス、起きなさい」   「ううーん」   ユリウスは片目を開けて、母親の顔を見上げた。   {あのヒマワリはどうしたの」   「ヒマワリ?」   「花がみんな折られていたわ」   「ぼく、知らないよ」   眠気がさめてないせいか、いつものくすくす笑いはなかった。   「あなたがしなかったら、いったいだれがあんなことをするの」   「ぼく、知らないよ。……だって、ずっと眠っていたんだもの」   そういえば、昨日の夕方に窓から見た時には、異変を感じなかったのをディアドラは思い出した。   だとすれば、夜のうちにだれかがやったことになる。   (ユリウスは一度寝てしまったら、そのまま朝までぐっすり眠るタイプだ)   ディアドラは、もう一度花壇に戻った。   茎が折られている高さは、ほとんど一定していた。それは、五歳児であるユリウスの手の届く範囲だった。   地面を注意して見ると、土が露出しているところにいくつかの小さな足跡があった。   (あの子は、夜中に起きだして茎を折ったのだ)   そのありさまを想像すると、ディアドラはぞっとした。   ディアドラは部屋に戻ると、父親のアルヴィスに起こったことを話した。   「どうか、あなたからきつくいってください」   「分かった。後で、わたしの執務室に呼んで話をしよう。場所が違えば、ユリウスも真剣に聞くことだろう」   執務室に呼ばれたユリウスは、好奇心いっぱいの顔をして部屋の中を見回した。   「ユリウス、何でここに呼ばれたのか分かっているだろうな」   「ヒマワリのことでしょ」   「そうだ。花壇には、お前の足跡が残っていたそうだ。つまり、それが証拠だ。お前がやったのだな」   「はい、父上」   「どうして、そんなことをしたのだ」   「母上が、草も木も生き物だっていったから」   「その通りだ。どうして、その生き物の命を絶つようなことをしたのだ」   「草を殺したら、どんな気持ちがするかと思って……」   「で、どんな気持ちがした」   「あんまりおもしろくなかった」   「またやろうと思っているのか」   「いいえ、父上。もうやりません」   「そうか、約束するか」   「はい」   息子の真面目な顔を見て、全てが好奇心から出たことだと、父親は思った。   (好奇心はむりに抑えるべきではない)   「よいか。ユリウス、よく聞くのだぞ」   「はい、父上」   「お前はグランベル帝国の皇子だ。やがては、お前がわたしの後を継いで、皇帝の座につく」   「ぼくが皇帝になるの」   「そうだ。帝国は、お前の命令一つで動くことになる」   「どんな命令でも?」   「そうだ、どんな命令でもだ」   「すごい」   ユリウスは、にんまりとした笑いを浮かべた。   「待ちなさい。わたしがいおうとしているのは、そういうことではないのだ。皇帝は偉大な力を持っている。だから、その力をよいことに使わなくてはならないといっているのだ。分かるか、ユリウス」   「はい、父上」   「お前が好奇心が強いのは、よく分かっている。好奇心は、知識を増やすためには必要なことだ。今度のことも、お前はその好奇心からやったのだろう。しかし、生き物の命を絶つということは、たいへんなことなのだ。特に人間の命を絶つということはな。だから、好奇心から、そんなことを命じてはいけない。自分の好き嫌いで命じてもいけない。国のために、どうしても必要な時以外、人の命を奪ってはいけないのだ」   「うん、ぼく、分かってるよ。カマキリみたいにするなら、いいんでしょ」   「カマキリ?」   「母上がいったの。カマキリは生きていくために、チョウチョウを殺したの。それなら、いいんだって」   「たしかに、獲物を捕らえなければ生きていけない生き物はいる。それは、神がそう決められたのだから、仕方のないことだ」   「神様が決めたのなら、いいんだよね」   「そうだ」   「分かりました、父上。ぼくは、もうヒマワリを折ったりしません」   「そうだ。約束できるな」   「はい、父上」   「皇帝というものは、約束を絶対に守らなくてはならない。皇子であるお前も、約束は必ず守らなくてはならないぞ」   「はい、父上」   アルヴィスは、息子の態度に満足した。五歳にしては、理解力のあることにも。   カマキリはさっと鎌を振り下ろすと、チョウうを捕らえた。   チョウは羽をばたばたさせたが、体にしっかりと食い込んだ鎌から逃れることはできなかった。   そのもがく様子を見て、彼は興奮した。   やがて、カマキリはチョウを食べ始めた。   (さっきまでひらひらしていたチョウが、生きたまま食べられてしまう)   その考えもまた、彼を興奮させた。   チョウをすっかり食べ尽くすと、カマキリは不動の姿勢に戻った。大きな複眼が、彼を見つめているような気がした。   (生意気に、ぼくとにらめっこをするつもりか)   彼は人差し指を伸ばすと、カマキリの目の前で、くるくる輪を描いた。   カマキリは体をそらし、鎌を左右に広げて自分を大きく見せようとした。   (お前、やるつもりか)   彼が指をカマキリの目の前に突き出すと、鎌を振り下ろしながら、嚙みついてきた。   指先に痛みが走った。   彼はカマキリの体をつかみ、指から引き離そうのした。   カマキリの体は離れたが、首は指に残ったままだった。首なしになった体が、手の中でばたばたした。   その感触に、彼は快感を覚えた。もう少しで、おしっこがもれそうだった。   (どうだ。ぼくの方が強いだろう。もっと、ばたばたしろ)   カマキリが動かなくなると、体を地面に捨てた。   (首はどこかに飾ろう)   彼は、首をヒマワリの茎に食いつかせた。   (まだ、にらめっこするつもりか)   彼は、花壇を回ってカマキリを探しては、次々に殺していった。   首がちぎれる時の小さな抵抗。手の中でもがく体。   ほかの虫を殺すものを、殺す。彼は、支配者だった。   翌朝、彼は母親に叱られた。   その時、草も木も生き物なのを知った。   (あのヒマワリを殺したら、どんな気がするだろう)   そう思うと、彼は、もうカマキリは殺さないと約束して謝った。謝り方のコツはもう知っていた。   その夜、彼はみんなが寝静まるのを待ってベッドを抜け出した。   月明かりで、花壇の様子はよく見えた。   ヒマワリの首を折ったけれど、カマキリの時ほど愉快ではなかった。それは、ヒマワリが抵抗しなかったからだ。   でも、何体も折っていくうちに、だんだん愉快になってきた。   翌朝、みんながびっくるするところを想像すると、興奮した。   (もっと折ってやる。もっと)   全部のヒマワリの首を折ってしまうと、彼は満足し、部屋に戻ってぐっすりと眠った。   翌朝は、父親に呼ばれて注意された。   やはり、うまく謝ったので、あんまり叱られなかった。   それより、彼を夢中にさせたのは、やがて自分が皇帝になって、どんな命令でも下せるということだった。   (早く、皇帝になりたい)   と、彼は思った。   でも、それはかなり先のことだろうということは分かっていた。   (それまでは、いろいろと試してみればいい。カマキリはもう殺さない。ヒマワリの首も、もう折ったりはしない。それは約束したことだからだ。でも、中庭には、いろいろな虫がいるし、カナヘビだっている。あのカナヘビはどうやったら捕まえられるのだろうか。一度捕まえようとして手を出したけど、ちょろちょろと逃げられてしまった。どうしたらいいか、よく考えてみよう)    それからしばらく、ユリウスは残酷ないたずらは起こさなかった。   ただ、普通のいたずらはあい変わらずだった。というより、前より手が込んできて、侍女たちは、みんなきりきり舞いをさせられた。   たとえば、一人で刺繍をしている侍女のところに行って、こういう。   「母上がすぐ来てくれといっていたよ」   侍女が急いで皇后のもとに行くと、それが嘘だということが分かる。そして、戻ってみると、刺繍の糸玉が糊でべったりになっていたりするのである。   どうやら、ユリウスは大人たち、というより自分よりも弱い立場にいる侍女たちをだますことに方針を変えたようだった。   翌年の春、ちょっとした事件が起こった。   王宮の庭園の中央には大きな円形の花壇があり、その花壇の周囲には十二聖戦士の彫像が配置されている。   ある朝、そこを通りかかった庭番が聖者ヘイムの彫像の足元に仔猫の首が置かれてあるのを発見した。庭番はすぐに仔猫の首を片づけ、近くにあった噴水の水で、血のあともきれいにした。その後で、庭番は、庭園の責任者に口頭で報告した。責任者は、自分の管理下でごたごたが起きるのをきらったので、記録には残さなかった。   しかし、庭番は顔見知りの侍女に話し、侍女がまた侍女に話すというふうに、噂は広まっていた。
  8. Here you go (I hope I didn't typo too much..): [spoiler=The Last Earth Dragon Tribe] 最後の地竜族   チェチェンガ山は、神の山だった。   なだらかなすそ野には、畑や牧場があったし、そこから森林限界までのやや急斜面では、猟師たちが鹿や熊を狩った。   しかし、ほとんど垂直にそびえる岩壁を、登ろうとする者はだれもいなかった。そこから上は、神の縄張りだからである。   初秋から晩春まで、チェチェンガ山は雪に覆われる。   晴れた日には、雪面は太陽の光を反射して、さまざまに色を変えた。   チェチェンガ山を初めて訪れた者は、その神秘的な美しさに思わず息を飲み、なるほど神が住むにふさわしい山だと、だれもがなっとくした。   しかし、地元に古くから伝えられる話は、美しさとは関係なかった。山頂には、実際に神が住んでいるというのである。   その神とは、巨大な竜だという。   しかし、話が伝えられているだけで、だれもその姿を見た者はいなかった。   もし、伝説の竜を求めてチェチェンガ山の山頂をきわめた者がいたとしても、その者はエメラルド色の水をたたえた小さな火口湖を見るだけだろう。たとえ、苦労して火口湖の岸辺まで降りていっても、巨大な竜はおろか、苔さえも見つけることはできずに、帰ってくるにちがいない。   しかし、もっと時間をかけ、もっと注意深く探索を続ければ、反対側にある岩壁の一部が、岩にしては奇妙な形をしているのに気づくかもしれない。   色は、周囲の岩と全く同じ色をしている。しかし、形は……。   確かに岩に似てはいるのだが、どことなく不自然である。   その不自然な形を注視しながら、追っていけば……。   やがて、胴回りが人の背丈ほどもあり、長さが外洋船ほどもある巨大な蛇のような形が浮かび上がってくるだろう。   それこそ、神竜族の王ナーガが休んでいる姿なのだった。   この大陸の竜族には、神竜族と地竜族の二種があったが、どちらの竜族も、種としての終末を迎えようとしていた。   どちらの種族にも、ここ百年は新しい生命の誕生はなかったし、これからもその見込みはなかった。   竜族の寿命は、人間から見れば無限に思えるほどだが、それでもいつかは死を迎える。新しい誕生がなければ、種としての未来はない。   ナーガは、「滅びゆくさだめ」を竜族たちに説き、次の時代を人間に委ねるように求めた。   神竜たちはその求めに応じ、人間の前に姿を現すことをやめ、寿命が尽きるまで高山の水辺などでひっそりと暮らすことにした。   しかし、地竜族は違った。かれらは、人間の種としての若さを嫉妬し、人間たちを憎んだ。そして、ナーガの求めを無視し、意味なく人間たちを殺していたのである。   ナーガは風の乱れを感じた。   山頂でゃいつでも強い風が吹いているが、火口湖の湖面近くに降りれば、ほとんど無風状態になる。   (だれか来たな。この風の乱れ方では、たぶん、フォルセティだろう)   見上げると、青い竜が湖面に着水しようとするところだった。   (やはり、フォルセティか)   大きな水しぶきが上がった。   (やれやれ、人間たちがいないからいいようなものの、もっと静かに着水できないものか)   フォルセティは、生き残っている神竜の中では、いちばん若かった。   そのせいか、ほかの神竜族のように静かに寿命の尽きるのを待つという境地にはまだ至っていない。大げさに水しぶきを上げたのも、無意識のうちに生きていることの証を得ようとしているためだろう。   青い竜は、湖底近くの水中でひと泳ぎしてから浮上すると、ゆっくりとナーガのそばにやってきた。   「ナーガ様、ついに人間たちが立ち上がりました」   フォルセティは嬉しそうにいった。   「立ち上がったとは?」   「ロプトウスは最近あまりにも人間を殺しすぎています。わたしの考えでは、どうやら人間の生き血を大量に必要としているのではないでしょうか。それで、とうとう人間たちも地竜に対して戦いを挑む決意を固めたようです」   「なるほど。ロプトウスにもついにその時がきたのか」   竜族の一番多い死亡原因は、体内の赤血球を食い荒ら癌細胞の増殖である。増殖がある程度以上進むと、骨髄の造血機能が追いつかず、酸素が体内に行き渡らなくなり、行動不能に陥る。   竜族はすぐれた文明を持ち、ほとんどの病を克服していたが、この癌細胞だけは遺伝子にしっかりと組み込まれていて、ついに抑えることができなかった。   ロプトウスは、自分の体内の異分子の増殖に気づき、人間たちの生き血で赤血球の減少を補おうとしているのに違いない。   「ナーガ様は人間たちにかかわってはいけないと、おっしゃいました。でも、人間が自分の死をも恐れずに何かをしようとして、しかも、その実現がとうてい不可能な場合には、多少の手助けは考えてみようとも、おっしゃいました。わたしは、今が考えてやるべき時だと思うのです」   「フォルセティよ、お前は、どうやって人間たちの決意を知ったのかな」   「わたしは……」   青い竜は少し口ごもった。   「実は、ときどき人間のかっこうをして、かれらの話を聞くことがあるのです。もちろん、ごくたまにですが……。でも、次の時代を担う種族が健全であるかどうかが、どうしても気になるのです」   (なるほど、フォルセティは自分の生きた証を人間たちの中に残そうとしているのか)   と、ナーガは思った。   (無理もない。伴侶もえられぬまま死んでいかねばならないのだから)   「で、どうやって手助けするつもりなのかな。人間たちに、それと悟られてはならないのだぞ」   「もちろん、もちろんです。わたしは、直接は手を出しません。代わりに、聖なる武器を与えようかと思っています。それも、かれらに手渡すのではなく、偶然見つけるという形で……」   「お前は、その戦いには加わるつもりなのか」   「いいえ。……でも、……見届けることだけはしたいと思っています」   「いいだろう。お前に任せることにしよう。念のために、その聖書を持っていくがいい。ロプトウスは恐ろしい力を持っている。たとえ、聖なる武器を持っていても、人間たちに倒せるとはとうてい思えない。でも、この聖書を使えば、たぶん、ロプトウスの魔力を封じることができるだろう。ただし、どうしてもという時にしか使ってはならないし、何度もいうようだが、我々の存在は、絶対気づかせてはならない」   「分かっております。お許しくださって、ありがとうございます」   「うん。それと、さっきの着水はちと派手すぎた感じがしたが……」   「申しわけありません。以後、気をつけます」   青い竜は、そういうとナーガのそばを離れ、水面をゆっくりと旋回した。   やがて、旋回の速度が早くなり、青い竜は空中に浮かび上がった。   空気の乱れはほとんど起きなかった。   竜の姿は、すぐに空の青さの中に溶け込み、見えなくなった。   十五人の戦士たちは洞窟の中をゆっくりと進んでいた。   いや、十四人の戦士というべきだろう。十五人目はプリーストに身をやつしたフォルセティだったからだ。   地竜は待ちかまえていた。   らんらんと輝く眼で戦士たちを見すえると、いかにも軽蔑しきった口調でいった。   「愚か者めが。わざわざ生き血を捧げにやってきたか」   その太く、低い声は洞窟中に響きわたり、空気の振動は戦士たちに衝撃を与えた。   それだけで、とても人間が倒せる相手ではないことが分かった。何人かの戦士は逃げ腰にさえなった。   しかし、聖なる剣を手にした戦士だけは違った。   勝てる相手ではないだろう。しかし、死んだ気になって戦えば、何万分の一かもしらないがチャンスがあると思っていた。   (戦わなければ、そのチャンスさえないのだ)   「みんな、同時にかかるんだ」   聖剣を手にした戦士は大声で叫ぶと、真っ先に地竜に向かっていた。   それを見て、ほかの戦士も気を取り直して地竜を攻撃した。たとえ、一時の恐怖はあったものの、みんな選び抜かれた戦士には違いなかった。   竜は聖剣の攻撃だけは、身をひねってよけた。ほかの攻撃はあえて避けなかった。しかし、矢も、槍も、刀も、竜の堅い鱗に傷痕さえ残せなかった。   竜は右の前足をのばすと、一人の戦士を捉えた。   戦士は恐怖の悲鳴を上げた。   竜が指に力を入れると、戦士の骨が砕ける音がした。   (お前の番は最後だ)   聖剣を持った戦士を見やりながら、竜は心の中で呼びかけていた。   (お前は勇敢だ。しかし、仲間が一人また一人と殺されていき、ただ一人残った時までも勇敢でいられるかな)   獲物の恐怖に怯える心は、ロプトウスにとっては何よりの香辛料だったのだ。   自分の死に意味を見いだしている者を殺しても、何の楽しみがあるだろう。   竜は怯えた心を感じ取り、その人間を捉えた。   第一指の爪が、人間の下半身に侵入した。爪はするすると伸び、腹部を貫通した。   絶叫はすぐに止んだ。   竜は死んだ人間を聖剣の持ち主の前に投げ捨てるように置くと、爪を引き抜いた。腹部に開いた大きな穴から血がほとばしった。   (どうだ。これを見ても、まだ心は動揺しないか。これから、一人ずつ違った殺し方を見せてやる)   フォルセティは、これ以上の流血はむだだと感じた。   ナーガから渡された聖書を手にすると、祈った。   「エテルナル・ホルト・ドメスカス・ナーガ」   聖書から、力が湧きだしてきた。力は地竜に向かう奔流となり、ロプトウスを包み込んだ。   「いえーっ」   聖剣が振り下ろされた。   地竜は、避けようとした。しかし、とういうわけか体が自由に動かなかった。   聖なる刃が地竜の鱗を切り裂き、首筋に食い込んだ。   「ギャアアーッ」   竜は苦痛の叫びをあげた。   聖剣を持った戦士を捉えようとした。しかし、大きな力が竜の全身を抑えこんでいた。   (畜生、これはナーガの力だな。だれが、いったい?)   その相手はすぐに分かった。一番後ろにいて、攻撃にも加わっていないやつだ。   再び剣が竜の肉を切り裂いた。   (あいつは人間ではない。神竜族だ。畜生、お互いに人間にはかかわらないといっていたのに、何という卑劣な)   竜の首筋の傷口はしだいに大きく、深くなっていった。   間もなく、脳へ通じる大動脈に達することだろう。   (おい、青二才)   ロプトウスは、ナーガの聖書に祈っている神竜に思念を送った。   (お前は人間に好意をもっているようだが、人間というものを分かっているのか)   フォルセティはその思念を応えず、ひたすら祈りを続けた。   「エテルナル・ホルト・ドメスカス・ナーガ」   (俺は人間を殺す時、そいつの心の深遠をのぞいてきた。どの人間も、俺よりももっとどす黒い悪意をもっている。お前が今していることを止めろとはいわん。しかし、人間を助けたことを後悔することになるぞ)   聖剣を持つ戦士はもはやひとことも発せず、竜の肉をえぐり続けている。   (お前は、この戦いに勝ったと思っているだろう。しかし……)   その時、ついに聖なる刃が竜の大動脈を切り裂いた。   血がバケツでぶちまけたように吹き出し、その勢いで戦士がしりもちをつく。   竜の首が、がくっと前に落ちた。   戦士たちが、どっと歓声を上げる。   竜はもはや動かなかった。しかし、思念だけはしばらく続いた。   それは言葉ではなく、哄笑だった。愉快でたまらぬようなその笑いに、青い竜はなぜか恐怖を覚えた。   「その笑いが気になってしかたがないのです」   フォルセティは戦いの結果を報告した後で、そうつけ加えた。   「こけおどしではなく、本当に楽しそうな笑いだったのです」   「地竜たちのセンスは分かっておる。あの者たちは皮肉な結果に対してしか笑わないのだ。その代わり、皮肉な結果でありさえすれば、たとえそれが自分の身に及ぶことでも笑いの対象になる」   「では、軽蔑している人間たちに自分が倒されるということでしょうか」   「いや、そうではあるまい。ロプトウスはお前が参加しているのを知っていた。だから、自分の死は皮肉な結果ではない」   「では、何を笑ったのでしょう」   「ロプトウスが倒れる前にいった言葉を正確に繰り返してみてくれないか」   「はい。『お前はこの戦いに勝ったと思っているだろう。しかし……』です。そこで、血がばあっと吹き出し、笑いに変わったのです」   「うん。そこになぞが隠されているのだろう。つまり、ロプトウスは戦いに負けていないと思っていたに違いない」   「でも、ロプトウスの笑いが続いている間、彼の肉体はすでに死んでいました。つまり、運動を司っている第二脳が活動を停止していたのです。第一脳もそれは分かっていたはずです。それでも、勝ったと思っていたのでしょうか」   「そうとしか思えんな。つまり、復活する自信があったのだ」   「すると、彼は何者かに、自分の血を与えたのでしょうか」   「そうだろう。しかも、その相手は人間であった可能性が強い」   「そうか、それこそ皮肉な結果そのものですね。彼が人間を憎み、蔑んでいたので、それには思いが至りませんでした」   「どうする。その人間を探してみるかな」   「ええ、もちろんです。次の時代を担う種族が地竜の遺伝子を持っているなんて、ぞっとしませんから」   フォルセティは姿を人間に変え、大陸中を回って、人々の話を聞いた。しかし、それらしい事実はもちろんのこと、噂さえもつかむことはできなかった。   十年後、青い竜はチェチェンガ山の火口湖を訪れ、探索の結果を報告した。   「そうか。血を与えられたのが人間だとすれば、遅くとも五年後には地竜の力が現れるはずだがな」   「人間ではなかったのでしょうか」   「いや、わたしはロプトウスのことはよく知っておる。彼が笑ったとすれば、それはまず人間に間違いない」   「では、どうして」   「この大陸ではなく、別の大陸の人間かもしれんな」   「でも、地竜は空を飛べないし、大海を渡るほど泳ぎも得意ではありません。どうして、ほかの大陸に……」   「頭を使いなさい。相手がこの大陸にやってくればいいことだ」   「そうか。そうでしたね。では、さっそくほかの大陸を回ってみます」   ロプトウスは、ユグドラル大陸のガレという皇帝の中に復活していた。   ガレは、大陸の中原で二百年以上続いたグラン共和国を倒すと、ロプト帝国を創建し、大陸を恐怖と、死で支配した。   帝国誕生の翌年には「大粛清」が行われ、十万人以上の人々が犠牲になった。その四年後には、大勢の子どもが生贄として火中に投じられた「ミレトスの嘆き」が、その翌年には、犠牲者が数万人にも及ぶ「エッダの虐殺」が起こった。   (何ということだろう。この残虐さは、ロプトウス以上ではないか)   その事実を知ったフォルセティは、深いため息をついた。   さっそく神竜王に知らせようと思った。しかし、ロプト帝国に対する反乱が起きていないので、知らせてもむだだと気づいた。   (ユグドラル大陸の人々が命を捨てる覚悟にならない限り、ナーガ様は手助けするなといわれるに違いない)   そこで、青い竜は待つことにした。   百年がたった。   長い寿命をもつ竜族にとって、百年という時間はある意味では短いものである。しかし、来る日も、来る日も、暗く、恐ろしい現実を見つづける青い竜にとっては、けっして短くなかった。   (この大陸の人間たちは、どうして、こんな恐怖政治を許しておくのか)   青い竜は、皇帝の残虐な行為を見聞きするたびにそう思った。   生物というものは、自分の遺伝子をできるだけ後の世に残そうとする。遺伝子こそが主人公であり、その肉体は遺伝子のための乗り物といってもいいほどだ。   もちろん、自分の遺伝子が全て後の世に伝わるわけではない。子どもは父親と母親の遺伝子を半分ずつ受け継ぐ。だから、子どもに伝えられるのは自分の中の二分の一の遺伝子でしかない。しかし、子どもが二人いれば、二分の一の遺伝子を持つ個体が二ついることになる。   二つの固体の遺伝子に重複する部分があれば、当然、伝えられていない遺伝子もでてくるが、二分の一たす二分の一は一、といえないこともない。   だから、親は子どもに危険が迫れば、身を捨ててでも守ろうとする。共通の遺伝子を持つからであり、その遺伝子がさらに広く伝えられる可能性があるからである。   兄弟なら、四分の一の共通の遺伝子をもつ。従兄弟なら八分の一である。   古い地域社会では、血縁関係が入り組んでいるから、自分と共通の遺伝子を持つ者は近くにたくさんいる。だから、自分たちのムラが襲われれば、みんなムラを守るために戦った。たとえ、自分の命を捨てようとも、より多くの共通の遺伝子が救われれば、それで満足するのである。   もちろん、そんなことを意識して戦うわけではない。でも、自分を犠牲にしてでも共通の遺伝子を守るということは、太古の昔から、無意識の中に組み込まれ、「気高い行為」として受け入れられてきたのだ。生まれてからの環境で、逆のことを教えられない限りは。   青い竜は、故郷の大陸で人間たちのそういう気高い行為を数多く見てきた。だから、人間たちに好意をもち、そっと手助けもしてきたのである。   精神的に高い境地に達している生物では、遺伝子ではなくても、自分の思想が後の世に伝われば満足する。たとえば神竜族であるフォルセティは、たとえ、自分の遺伝子は消滅したとしても、その思想が人間たちの間にいくらかでも伝わればと考えていた。   (しかし、この大陸の人間は、いったいどうしたのだ。確かに、ロプト帝国の武力は強力だ。スパイ組織もしっかりとつくられていて、反乱を起こしそうな人間は早いうちに粛清されてしまう。しかし、それだからといって何もしないでいるのでは、ロプト帝国の消極的な肯定になってしまう。そんなに、自分の命がたいせつなのだろうか。ロプトウスの血を授けられたガレの一族しだいに数が増えている。このまま、だれも立ち上がらないで何千年も過ぎてしまえば、この大陸の人間たちには、全てロプトウスの血が流れることになるだろう)   青い竜は、ロプトウスの哄笑を思い出した。そして、「どんな人間も、俺よりどす黒い心をもっている」という言葉を。   (彼には、人間の愚かさ、醜さがよく分かっていた。そして、このことを予測していたのだ)   青い竜は、百年ぶりに故郷の大陸に戻り、チェチェンガ山のナーガを訪ねた。   「それは違うな」   青い竜の愚痴とも、報告ともつかぬ話を聞いて、神竜王はいった。   「どう違うのでしょう」   「地竜族の心の中には、悪意しかない。だから、人間の心の中の深遠をのぞいたといっても、ロプトウスには悪意しか見えないのだ。しかも、その心というのは、殺される間際のものだ。たとえ、善意をもっている人間だとて、恐怖とか、憎しみとか、悔しさしか浮かばないのではないかな。だから、気を落とすことはない。   人間は悪意とともに、善意ももっている。ちょうど、われわれ神竜族と、地竜族の心を合わせたようなものだ。竜族も種族として若い時はそうであったと聞く。それが、長い進化の果てに、神竜族と、地竜族とに別れたのだ。もう少し待ってやりなさい、フォルセティよ」   「分かりました。わたしが至りませんでした。もう一度、ユグドラルに渡ります」   そして、さらに五十年近くたって、ついに、その時が来た。   帝国の各地で解放軍が立ち上がったのである。   それぞれの解放軍は、連絡を取り合っていたわけではなかった。積もりに積もったものが一気に吹き出したのだった。   フォルセティは急いで故郷に帰った。   ナーガは、この前会った時にくらべて、めっきりと衰えていた。   「わたしも、もう長いことはない。これが最後の手助けになるだろうな」   と、ナーガはいった。   「ロプトウスに対抗するためには、選ばれた者たちにわたしたちの血を与えることにしよう。フォルセティよ、残っている仲間たちを集めてくれないか」   帝国軍の反応は素早かった。   解放軍は合流する前に、各地で各個撃破された。   敗れた解放軍の兵士たちは、帝国軍の追求を逃れるために、最も不便な土地であるイード砂漠に逃げ込み、ダーナ砦という小さな砦に立てこもった。   しかし、そこも安全な場所ではなかった。   帝国軍の部隊が解放軍の兵士たちを追って、ぞくぞくとイード砂漠に入り込んできたからである。   十二頭の神竜族が着いた時、ダーナ砦は帝国軍によって完全に包囲されていた。   解放軍の指揮をとっていた司祭のヘイムは、残った戦士たちに語りかけた。   「我々の状態は、刀折れ、矢尽きたといってもいい。帝国の圧政をくつがえそうとする我々の企てはここについえたともいえる。しかし、みんな信じよう。我々の意志が後の人々に受け継がれることを。次の反乱が起こるまでに、また百年近くかかるかもしれない。しかし、どんなに力が強い者でも限りはある。いつかは、帝国も必ず敗れる。それを信じよう。そして、最後の一人まで戦うおだ。ここ、ダーナ砦での戦いが後の世に語り継がれるように」   戦士たちは疲れきっていたが、ヘイムの熱っぽい言葉にうなずくと、みんなで武器を高く掲げ、「おうっ」という雄叫びをあげた。   空中にいたナーガがフォルセティにうなずいた。   フォルセティが烈風を起こすと、砦の上空をおおっていた厚い雲に裂け目ができ、そこから一条のまばゆい光が砦に差し込んだ。   神竜たちは、その光の中を通って砦に舞い降り、それぞれが人間の形をとった。   老人、少年、少女、若者……。   突然出現した十二人の姿を見て、戦士たちは驚いた。   「お前たちは何者だ」   ヘイムが話かけてきた。   「我々は、お前たちに我々の力と武器を授けるためにきた」   と、老人の姿をしたバルキリーがいった。   少女の姿をしたナーガがヘイムの前に進み出るといった。   「わたしの名前はナーガ。聖者ヘイムよ。お前にはわたしに力と光の魔法を授けよう。まず、わたしの血を飲みなさい」   そういうと、少女は自分の左手の親指に傷をつけ、それをヘイムの顔の前に差し出した。   ヘイムjは不審そうな顔をしたが、黙ってナーガのいう通りにした。   「これは光の聖書。ロプトウスの魔法に匹敵する力を持っています。受け取りなさい」   若者の姿をしたフォルセティは、涼しげな瞳をした若い魔術師を選んだ。   「これは風の魔法フォルセティ。大気の持つ力がこの聖書に封じ込んである。しかし、忘れないでほしい。風は恐ろしい力を持つが、普段はおだやかに流れるものだ。お前は、暖かい風になれ。そして、世界を正しい方向に導くのだ」   「その言葉、しっかりと胸に刻みました」   魔術師は聖書を受け取ると、目をつぶり、額に押し当てた。   神竜たちはそれぞれに戦士の一人を選ぶと、自分の血を与え、武器を手渡した。   それが終わると、少女姿のナーガが再び前に進み出て、いった。   「聖なる戦士たちよ。信じるのです。そして、戦いなさい、人々のために」   十二人の戦士たちが雄叫びを上げると、ほかの戦士たちもそれに和した。こうして、ダーナ砦の奇跡が始まったのである。   砦を出た解放軍に、敵の第一陣が押し寄せてきた。   しかし、不思議な力を持った武器の前にあっという間に壊滅した。   続く第二陣も簡単に壊滅すると、帝国軍はもう攻撃しようとはしなかった。解放軍が前進すると、みんな退却して道を開けたのである。   「わたしたちは、故郷に帰ることにする」   帝国軍の退却を見届けると、ナーガは青い竜にいった。   「フォルセティや、お前だけ残るがいい。この大陸の人間たちは、お前に任せることにしよう」   「分かりました。必ず、善意が支配する世界に導きます」   「でも、忘れるでない。人間が命を捨てる覚悟でなければ、手助けしないように。それと、わたしたちの存在は絶対に悟られないように」   「もちろんです。よく分かっています」   「では、もう会うことはないだろう。さらばだ」   そういうと、神竜王は大気の中に溶け込んだ。続いて、ほかの神竜たちの姿も見えなくなった。   「ナーガ様、わたしに生きる道を与えくださって、感謝しております」   それからの解放軍は敗れることは一度もなく、青い竜はただ見守っていればよかった。   とはいえ、数の上ではまだまだ帝国軍が圧倒的に有利だったので、解放軍は辺境から順に一つ一つの地方を解放してゆく戦略をとった。   レンスター、トラキア、ミレトス、ヴェルダン、アグストリア、シレジア、イザーク、そして再びイードの砂漠へ……。   ダーナ砦の奇跡から十五年。解放軍はついに中原に入った。   最後の戦いはバーハラの野で行われ、聖者ヘイムはロプトウスの魔法を持つガレ七世を破った。   ロプト帝国は滅びたのである。   平和が訪れたのを見て、フォルセティは休息をとることにした。   風の魔法を授けられた魔術師は、ユグドラル大陸の北部にあるシレジアの国王となった。   青い竜も、休息の場所をそのシレジアにすることにした。そして、中央山脈にある氷河の近くを選んだ。   そこは、チェチェンガ山の火口湖と違って、いつでも風が強く吹きつけた。しかし、青い竜は風が好きだった。それに、人間たちはだれもやってこないので、休息の場所としてはうってつけだった。   たとえ、人間がやってきたとしても、うねる氷の帯を、その両側の切り立つような絶壁しか見ることはできないだろう。   しかし、何ものを見落とさない注意深い目で見れば、絶壁の下の岩が、岩にしては奇妙な形をしているのに気づくかもしれない。   色は岩そのものだが、岩にしては少し不自然な形を追っていけば……。   その氷河の谷は、いつの世かに、神の谷と呼ばれることになるだろう。 Haven't done 'My Child, Loptyr' yet, but just to clarify in case, it's a story about Julius's childhood, not Loptyr's.
  9. ^Sure, but any particular one you're interested in? I could give a general idea at most, because I haven't actually finished reading any properly oops.
  10. ^True, but with a full-time job and also art projects I'm working on I don't have much free time left to translate anything (not to mention my Japanese isn't fantastic)..of course I'm not assuming anyone else does either so I'm just throwing this out here in case anyone's interested. I'm just putting this here because I didn't want to ask just one person in particular in case somebody else might be interested as well, or if somebody is interested in just a particular chapter or something idk.
  11. Just a gauge of interest, but would anyone be interested in translating the FE4 novels if I were to provide transcripts of them? (I'm reluctant to translate them myself partly because...time...but also my writing English isn't fantastic so I'm not sure I could translate a novel without it being a chore to read) There are 5 novels; 3 of them follow the game's storyline (2 for 1st gen, 1 for 2nd gen), and two of them are kind of like short side stories (one for each gen). They're all written by Suzuki Ginichirou. They were released around 1996~98, before FE5 was released, so I think some side stories might clash with FE5 a bit? Chapter listing: Sigurd Chapter Part 1 ------------ Prologue - Loptyr Chp 1 - Archbishop Blagi Chp 2 - Duke of Velthomer, Arvis Chp 3 - Isaach Campaign Chp 4 - Battle at Jungby Chp 5 - Battle at Verdane Sigurd Chapter Part 2 ---------- Chp 6 - The Bard Enters Chp 7 - Eldigan's Death Chp 8 - Birth of the Second Generation Chp 9 - And so, the Door of Fate... Afterword 2nd gen novel (It's just titled as FE4's name, this novel was released before the 1st gen novels) ---------- Chp 1 - Battle of Belhalla Chp 2 - Seliph Builds an Army Chp 3 - Larcei...You're the One I Love Chp 4 - The Divine Sword, Balmung Chp 5 - The Black Knight, Ares Chp 6 - The Miracle of Darna Chp 7 - The Earth Lance, Gae Bolg Chp 8 - The Soul of Thracia Chp 9 - Arione, the Dragon Knight Chp 10 - The Dark God, Loptyr Chp 11 - The Children of Thracia Chp 12 - Emperor Arvis Chp 13 - Archbishop Manfroy Chp 14 - The Final Battle Chp 15 - Wind God Forseti Afterword The Last Earth Dragon Tribe (1st gen side stories) ---------- The Last Earth Dragon Tribe The Spirit Forest General Aida The Three Witches The Sealed Past The Thief's Promise The Killing Blow The Ghost Horse Afterword The Country of Forests and Lakes (2nd gen side stories) ---------- The Wind Mage My Child, Loptyr Flying Warrior Bonds Arione Vampire The Country of Forests and Lakes Afterword
  12. I'm one of those people who still find FE8 hard..I don't mind being laughed at because I accept I'm bad at games haha. From some previous posts it seems like casual fans like me which apparently can't play an FE game properly aren't welcomed by some people, but to each their own opinion I guess? Games are made for enjoyment, and I've just never seen the point of being bothered by how others want to play the game, so long as you yourself are enjoying it for what it is; no point trying to conform yourself to others' standards while playing a game if you're not having fun doing so. I think the introduction of casual mode has allowed more people to enjoy the game as well and also in different ways, so why not?
  13. Official artwork wise I find FE8's style very appealing; it may be because I have a more painterly style myself as opposed to clean lines, but I really like the drawing style and the earthy colours used for the shading. I do admire clean lines a lot though (because I cannot do them), so I really like the Tellius/Awakening art with their clean lines but painterly (?) shading which I think turned out great. Design-wise though I think the Tellius art (despite not having played the games) is really nice, the armour/outfit designs really feel like a polished version of the general outfit trend that's been around for the whole series I think. I personally reallyyy like a lot of the Awakening armours aside from the Knight armour (Great Knight/Heroes come to mind); I like mecha a lot and I personally like to add a lot of the lines, like those on the neck of the Great Knight horses, onto my own creature/mecha/etc designs. But my preferences aside I do think the design/outfit style they went with in Awakening doesn't feel very 'Fire Emblem' in general, at least when compared to the outfits of all the previous games... For in-game graphics my favourite is definitely the GBA games; I got into the series from FE7 and the first thing that impressed me about the game was the battle animations, they were very snappy and sharp (?) which I thought was really cool to look at, and I thought the crit animations look especially great in these games compared to the others with their over-the-topness. And since I used to be really into pixel art, the detailed face portraits never cease to amaze me (though I thought FE11/12 ha really awesome ingame portraits as well).The special effects (sparks/magic circles and etc) in Awakening were very nice though. sorry I talk too much..
  14. Ohh I really like some FE music, so I thought to just make a post here. FE4 has my favourite music overall, but 2 and 12 are reallyyy close; Lion King Eltshan and Festival of Naga are my overall favourites probably. I have yet to play 9/10 and haven't taken the time to listen to its soundtrack so I excluded them.. FE2: Enemy Phase 2, Final Ally Phase, Chapter 5 FE4: Lion King Eltshan, Disturbance in Agustria, New Thracia Palace FE5: Adversity, August Talks A FE6: For the Commanders, Polar Region FE7: Distant Travels, Companions FE8: Rise Above, Determination FE11: Footsteps of Fate FE12: Festival of Naga, One who Carves a New History FE13: Destiny, Storm Clouds; I really like transitioning themes idea between map and battle in general
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